計算のしかた(概算の前提)
残業代(割増賃金=残業のときに上乗せされる給料)
- 1時間あたりの賃金=(基本給+残業代の計算に入る手当)÷ 1か月の平均所定労働時間(労働基準法施行規則19条1項4号)。ここから外せる手当は、法律で次の7つに限られています(労働基準法37条5項・同施行規則21条)。それ以外の手当は、名前が何であれ全部入ります。
- 時間外労働(1日8時間・週40時間を超えた時間)は25%増し。月60時間を超えた分は50%増しです。
- 深夜(夜10時〜朝5時)は25%を上乗せします。月60時間を超えた時間外が深夜なら、合わせて75%増しです。
- 法定休日(週1日)の労働は35%増し。法定休日の労働は、60時間の数え方に入りません。
- 固定残業代があるときは、含まれる時間を超えた時間外の分を、別に計算します。
| 手当 | 根拠 | このツールでは |
|---|---|---|
| 家族手当 | 労働基準法37条5項 | 「そのうち外れる手当」に入れる |
| 通勤手当 | 労働基準法37条5項 | 「通勤手当」の欄に入れる |
| 別居手当 | 施行規則21条1号 | 「そのうち外れる手当」に入れる |
| 子女教育手当 | 施行規則21条2号 | 「そのうち外れる手当」に入れる |
| 住宅手当 | 施行規則21条3号 | 「そのうち外れる手当」に入れる |
| 臨時に支払われた賃金 | 施行規則21条4号 | 毎月の給与ではないので入れない |
| 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) | 施行規則21条5号 | 「6. 賞与」に入れる |
なお、家族手当や住宅手当という名前でも、家族の人数や家賃に関係なく全員に同じ額が出ているものは、外せないとされています(厚生労働省の資料)。迷ったときは「手当の合計」に入れてください。残業代がやや多めに出る側の見積もりになります。
「月の所定労働時間」が分からないとき
所定労働時間(会社で決まっている、残業を除いた働く時間)は、給与明細に書いてないことが多いので、このツールでは「1日の勤務時間」と「休みの取り方」から目安を出します。式は「(365日 − 年間の休みの日数)× 1日の勤務時間 ÷ 12か月」です。
| 休みの取り方 | 年間休日 | 月の所定労働時間 |
|---|---|---|
| 土日も祝日も休み = 約120日 | 約120日 | 約163時間 |
| 土日休み・土曜は月1〜2回出勤 = 約110日 | 約110日 | 約170時間 |
| 土日休み・祝日は出勤(4週8休)= 約105日 | 約105日 | 約173時間 |
| もっと少ない(日曜と祝日だけ など) | 90日以下 | 173.8時間(上限) |
- 「分からない」を選んだときは年間休日105日(月約173時間)で計算します。105日は、1日8時間で週40時間(法定労働時間)に収まる休みの最低ラインで、土日を休む「週休2日」や国土交通省が目標にしている「4週8閉所(4週8休)」にほぼ相当します。
- 厚生労働省の就労条件総合調査(令和6年、従業員30人以上の会社)では、建設業の会社の規定上の年間休日は労働者1人平均で117.9日です。ただし建設の現場では週休2日が確保できていないことも多いため、分からないときは下限に近い105日を目安にしています。所定労働時間が多いほど1時間あたりの賃金は低く出るので、残業代を多めに見積もらない側の前提です。
- 1日の勤務時間が長い、休みが少ないなどで月173.8時間(週40時間 × 365日 ÷ 7 ÷ 12)を超える場合は、超えた分は法律上は残業になるため、173.8時間で止めて計算します。
- 明細や就業規則に「月平均所定労働時間」が書いてあれば、そちらを直接入力してください(多くの会社は150〜175時間)。
固定残業代の「含まれる時間」が分からないとき
固定残業代(みなし残業代)は「◯時間分」と時間が決まっているのが普通ですが、明細に時間が書いてないこともあります。空欄のときは「金額 ÷(1時間あたりの賃金 × 1.25)」で時間の目安を出します。たとえば固定残業代50,000円・1時間あたりの賃金2,000円なら、50,000 ÷(2,000 × 1.25)=20時間分です。多くの会社の労働契約はこの考え方ですが、会社によって違うことがあるので、契約書や就業規則に時間が書いてあればそれが優先です。
社会保険料
- 「標準報酬月額」(保険料を決めるための区切りのよい月額)は、総支給(通勤手当を含む)がこのまま続くと仮定して、等級表から決めます。実際は、原則として4〜6月の給与の平均で年に1回決まります。
- 健康保険は、協会けんぽの都道府県ごとの料率(令和8年度)の半分を本人が負担します。
- 介護保険は40〜64歳の人だけで、料率は全国一律1.62%(本人はその半分)です。
- 子ども・子育て支援金は、2026年4月分から始まった新しい負担です。率は0.23%(本人はその半分)です。
- 厚生年金は18.3%(本人はその半分の9.15%)です。
- 雇用保険は、総支給に本人負担の率をかけます。このツールは建設業(施工管理)向けなので、業種は聞かずに「建設の事業」の率(2026年度:6/1,000)で固定しています。一般の事業(5/1,000)とは少し違います。
所得税・住民税
- 所得税は、国税庁の源泉徴収税額表(令和8年分・月額表の甲欄)で、社会保険料と通勤手当(上限まで)を引いた額と扶養親族等の数から出します。
- 住民税は、前の年の所得で決まります。ここでは「前の年も同じ給与だった」と仮定し、標準の税率(所得割10%など)で概算した年額を、毎月の額にしています。
- 年間の手取りは、年末調整で精算した後の所得税で計算しています。
実際の給与明細と違うことがある理由
締め日や手当の決め方、標準報酬月額が決まる時期、住民税の前の年の所得、加入している健康保険(協会けんぽか健康保険組合か)などで、実際の額は変わります。結果は目安として使ってください。
出典:e-Gov 法令検索「労働基準法」(第37条第5項:家族手当・通勤手当などは割増賃金の基礎に算入しない)(新しいタブで開きます)、e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則」(第19条:1時間あたりの賃金の出し方、第21条:算入しない手当)(新しいタブで開きます)、厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」第7表 産業別の労働者1人平均年間休日総数(e-Stat)(新しいタブで開きます)、国土交通省「休日確保の考え方について」(週休2日・4週8閉所・4週8休の定義)(PDF)(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月30日)/厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」(PDF)(新しいタブで開きます)、愛知労働局(厚生労働省)「割増賃金の基礎となる賃金について」(PDF)(新しいタブで開きます) ほか(確認日:2026年9月29日)
2024年4月からの建設業の残業上限
働き方改革で決まった残業の上限は、建設業にはほかの業種より遅れて、2024年4月1日から適用されています。上限は次のとおりです。
| 決まり | 数える時間 | 上限 |
|---|---|---|
| 原則(限度時間) | 時間外 | 月45時間・年360時間 |
| 特別条項があっても | 時間外 | 年720時間以内 |
| 特別条項があっても | 時間外 | 月45時間を超えるのは年6回まで |
| いつも(特別条項の有無に関わらず) | 時間外+休日 | 毎月100時間未満 |
| いつも(特別条項の有無に関わらず) | 時間外+休日 | 2〜6か月の平均が80時間以内 |
「毎月100時間未満」は、100時間ちょうどでも違反です。また、時間外が月45時間以内でも、休日労働と合わせて100時間以上になれば違反になります。
災害の復旧・復興の仕事
建設の事業のうち、災害時の復旧・復興の事業に限って、「毎月100時間未満」と「2〜6か月の平均80時間以内」は適用されません(労働基準法第139条第1項)。「年720時間以内」と「月45時間を超えるのは年6回まで」は、この場合も適用されます。
36協定(さぶろく協定)と特別条項
法定の労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりするには、会社と働く人の代表が「36協定」(労働基準法第36条にもとづく労使協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。 原則の月45時間・年360時間を超えるには、臨時の特別な事情があるときの取り決め(特別条項)が要ります。ほとんどの建設会社は特別条項つきで結んでいるので、このツールは「会社が特別条項つきの36協定を結んでいる」前提で、上の表の「特別条項があっても」「いつも」の4つの上限だけで違反かどうかを判定します(原則を超えているときは、警告ではなく小さな注記だけ出します)。結んでいない会社では、原則の月45時間・年360時間が上限です。
- 2024年3月まで:建設の事業は、時間外労働の上限規制の適用が5年間猶予されていました。特別条項を結べば、法律上の上限なく時間外労働を延長できました。
- 2024年4月から:猶予が終わり、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)つきの上限規制が建設業にも適用されています。特別条項があっても「年720時間以内」「毎月100時間未満」「2〜6か月平均80時間以内」「45時間超は年6回まで」は超えられない天井です(災害の復旧・復興の仕事だけ、100時間・80時間平均は適用されません)。
- 自動車運転の業務は別枠:ダンプなどの運転が主な仕事の人(自動車運転者)は、特別条項つきの36協定を結んだときの時間外労働の上限が年960時間で、「毎月100時間未満」「2〜6か月平均80時間以内」「45時間超は年6回まで」は適用されません。このツールは建設の事業(施工管理)の上限で判定しています。
このツールでの確かめ方
何も選ばなければ、「3. 毎月の時間」に入れた残業と休日出勤が12か月続くとして確かめます(「このペースが1年続くと」)。「5. 忙しい時期」で「少し忙しい月がある(+20時間×3か月)」「かなり忙しい月がある(+40時間×4か月)」を選ぶか、普段の月・繁忙期の月・月数を自分で入れると、その形の12か月で確かめます。繁忙期の月は1か月目から続けて並べます(2〜6か月の平均がいちばん厳しくなる並べ方)。2〜6か月の平均は、この12か月の中だけで計算しています。実際は、前の年とまたがる期間も対象になります。
出典:厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(PDF)(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月29日。36協定と特別条項の項は2026年9月30日に原文で再確認)、厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」(旧 適用猶予事業・業務)(新しいタブで開きます)、厚生労働省「確かめよう労働条件」36(サブロク)協定とは(新しいタブで開きます)、厚生労働省 働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」(罰則・改正前の扱い)(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月30日)
よくある質問
固定残業代(みなし残業代)があると、残業代はどうなる?
固定残業代に含まれる時間までは、追加の残業代は出ません。含まれる時間を超えた時間外は、固定残業代とは別に払われる決まりです。 このツールでは、固定残業代を時間外の分として扱い、深夜と法定休日の割増は別に計算しています(会社の決まりで扱いが違うことがあります)。
宿泊手当・出張手当・皆勤手当は、どこに入れる?
「手当の合計(通勤手当を除く)」に入れてください。残業代の計算から外せる手当は、法律で家族・通勤・別居・子女教育・住宅の5つの手当と、臨時の賃金・賞与に限られています(労働基準法37条5項・同施行規則21条)。それ以外は名前が何であれ、1時間あたりの賃金に入ります。
住民税が「概算」なのはなぜ?
住民税は、前の年(1〜12月)の所得で決まります。前の年の収入や控除はここでは分からないので、「前の年も今と同じ給与(賞与を含む)だった」と仮定して、標準の税率で概算しています。 ふるさと納税や住宅ローン控除も入れていません。正確な額は、会社から渡される住民税の「特別徴収税額の通知」で確かめられます。
月60時間を超えた分の50%は、中小企業でもつく?
つきます。2023年4月1日から、中小企業も月60時間を超えた時間外労働は50%以上の割増です(大企業は2010年4月から)。 なお、法定休日に働いた時間は、この60時間には数えません。
休日出勤は、ぜんぶ35%増し?
35%増しになるのは、週1日の「法定休日」に働いた分です。会社が決めたほかの休日(所定休日)の出勤は、週40時間を超えれば時間外(25%増し)になり、月60時間の数え方にも入ります。
施工管理(現場監督)は、残業の上限の対象?
建設の事業で働く人は、施工管理も含めて対象です。ただし、労働基準法の「管理監督者」にあたる人は、労働時間・休憩・休日の決まりが適用されません。 管理監督者かどうかは、役職の名前ではなく、仕事の内容・責任と権限・働き方などの実態で判断されます(深夜の割増賃金は管理監督者にも必要です)。
入力した数字は、どこかに送られる?
送られません。計算はすべてブラウザの中で行い、入力した数字をサーバーに送ったり、保存したりしません。
上限を超えていたら、どうすればいい?
まずは、実際に働いた時間の記録(勤怠の記録やメモ)を手元に残しておくと安心です。会社の労務の担当に確かめるほか、労働基準監督署や総合労働相談コーナー(新しいタブで開きます)でも相談できます。このサイトでは、個別の相談には応じていません。
管理監督者の出典:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」(PDF)(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月29日)
出典と確認日
計算と解説は、次の資料をもとにしています(確認日:2026年9月29日。法令の原文と年間休日の資料は2026年9月30日)。料率や税額表が変わったときは、計算とこのページを見直します。
- 厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(PDF)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」(PDF)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」(旧 適用猶予事業・業務)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」36(サブロク)協定とは(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省 働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」(罰則・改正前の扱い)(新しいタブで開きます)
- 愛知労働局(厚生労働省)「割増賃金の基礎となる賃金について」(PDF)(新しいタブで開きます)
- e-Gov 法令検索「労働基準法」(第37条第5項:家族手当・通勤手当などは割増賃金の基礎に算入しない)(新しいタブで開きます)
- e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則」(第19条:1時間あたりの賃金の出し方、第21条:算入しない手当)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」第7表 産業別の労働者1人平均年間休日総数(e-Stat)(新しいタブで開きます)
- 国土交通省「休日確保の考え方について」(週休2日・4週8閉所・4週8休の定義)(PDF)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」(PDF)(新しいタブで開きます)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度の協会けんぽの保険料率」(新しいタブで開きます)
- 協会けんぽ「子ども・子育て支援金率について」(新しいタブで開きます)
- 日本年金機構「厚生年金保険料額表」(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「雇用保険料率について」(新しいタブで開きます)
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」(新しいタブで開きます)
- 総務省「個人住民税」(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(新しいタブで開きます)
このページの計算結果は概算(目安)です。個別の税務・労務の相談には応じていません。